オホ−ツク風と太陽
ロシアから吹いてくる冷たいオホ−ツク風と、太陽が言い争っていました。
どちらも自分が一番強いと言い張り、ゆずろうとしませんでした。
あげくには、羊の着ているウ−ルのマントを、どちらが先に脱がせるか競争することにしました。
「俺様のしゃっこくてしばれる息で、マントなんかあっという間にどっかさ吹っ飛んでしまうべさ」
オホ−ツク風は羊めがけて力いっぱいピュ−ピュ−とおそいかかりました。
しかし、羊は冷たいオホ−ツク風邪が吹けば吹くほど、マントを飛ばされないようしっかり握りしめ身体に引きよせました。
疲れはてたオホ−ツク風にかわって、次に太陽がやさしく羊にふりそそぎました。
すると羊は握りしめていた手を、すこしづつゆるめはじめたので、今度はいっきに強く照らしはじめました。
暑くてたまらなくなった羊がマントを脱ぎ捨ててしまうと、太陽は得意げな顔をしてオホ−ツク風にいいました。
「どだっ、そったらはっちゃきこいたって、俺にはかてねべさ」
しばらくして雲が太陽をかくしてしまうと、また羊はマントを着て空にむかっていいました。
「ばかたれども、せわしない思いするの、この俺だべさ。みんな、いいとこも、わるいとこもあんのに、迷惑すんのこっちだべさ」