いなかのヤマセミと都会のカワセミ
ヤマセミとカワセミは、とてもいい友達でした。
ある日、田舎の山に住むヤマセミが、カワセミを食事にまねきました。
ごちそうといっても、稲や干からびた麦しかありません。
そこで都会のカワセミがいいました。
「ぼくの所においでよ。おいしいものがたくさんあるよ」
二羽はすぐにでかけました。
町のカワセミの家には、大好きなイワナやオショロコマ、木の実など、おいしい食べ物がいっぱいありました。
ヤマセミはいいました。
「幸せもんでないかい、君は。それに比べたらぼくは運がないべさ」
さて、二羽が食事をしようとしたとたん、巣の真下を馬車が通りました。
二羽はびっくりして大きな木に逃げ込みました。
やっと巣にもどると、今度は子供達が鳥餅竿でねらっています。
二羽は、また大あわてで逃げました。ヤマセミが、ため息をついて言いました。
「これじゃあ、ばんきり、びっくらこいてないと住めねえべさ。こったらに食べ物なくていいから、あづましく暮らしたいもね。平和な暮らしが一番だべ」
と言って山に帰っていきました。カワセミは考えました。
「無理しないで、自分にあった暮らしをしよう」
それからカワセミは、山でもなく、町でもない、川で暮らすようになったんだと。